平和でも、くらしでも希望がもてる日本に
日本は、社会保障も教育も子育ても、国民の暮らしを支える公的支出が経済力に比べてあまりに低すぎます。それにもかかわらず、国・地方の借金が先進国で最悪なのは、富裕層・大企業への行き過ぎた減税や大型開発、軍拡など、税・財政のあり方がゆがんでいるからです。消費税減税、社会保障充実、教育費負担軽減など、暮らしを支え格差をただす税・財政の抜本的改革を行います。
税・財政が果たすべき役割は、社会保障や教育をはじめ、国民の暮らしや営業をまもることと、能力に応じた税制や社会保障制度による所得の再分配で、格差の是正をはかることです。
ところが、政府はこの本来の役割を投げ捨てて、まったく逆立ちした政策をすすめてきました。消費税の税収は、今年度までの累計で509兆円にものぼりますが、消費税増税とほぼ同じ期間に法人税や所得税などは地方税を含めて600兆円も減ってしまいました。大企業・富裕層への減税と景気悪化による減収です。
消費税はその穴埋めに消えてしまったのです。法人税・所得税の税収減と、大手ゼネコンのための大型公共事業や、アメリカいいなりの軍拡などが重なり、消費税創設後の35年間で、国債残高は900兆円も増えました。国民に大増税と負担増を押しつけながら、国の借金も増やしたのが自民党政治です。
先進国で最悪の借金財政を支えるため、政府は日銀に超低金利政策を続けさせ、その結果、金融政策は行き詰まり、異常円安と物価高騰の一要因となり国民生活に大きな被害をあたえています。
欧米諸国が「インフレ対策」として、利上げを実施しましたが、日本だけは、借金財政を支えるために超低金利政策を転換できず、「日米金利差」による円安が急速に進行しました。歴史的な円安による輸入価格の高騰が引き金となった物価高騰が暮らしと経済に襲いかかっても、「利上げ」もできず円安を止める対策がとれない、お手上げ状態です。その一方で、大企業や富裕層への減税をはじめ、円安で外需向け大企業は巨額の利益をあげ、株価高騰と国債ビジネスによって、富裕層や大銀行、海外投資家にも利益がもたらされています。
いまこそ、こうした暮らしを壊し格差を拡大する税・財政のあり方を抜本的に転換することが必要です。
物価・原材料の高騰に加えて、過剰債務が中小企業・小規模事業者の経営に重くのしかかり、“コロナ危機”を上回る倒産・廃業が起きる危機を打開する必要があります。コロナ対応融資(ゼロゼロ融資)を「別枠債務」にして、事業継続に必要な新規融資が受けられるようにします。
債務の減免を含めた「中小企業・事業再生スキーム」を、より小規模な事業者にも適用できるようにします。「地域経済再生給付金」(仮称)を創設し、困難に直面している中小企業・小規模事業者への直接支援を行います。
原材料価格やエネルギー価格などが上昇するなか、取引先の親会社が転嫁に応じないなど、それを価格転嫁できずに物価高倒産に追い込まれる中小企業が増えています。「下請代金法」の罰金引き上げや被害救済の「違反金制度の創設」など、下請け企業が価格転嫁できるようにします。
(1)消費税は5%に緊急減税。インボイスは中止にします
物価高騰は食料品をはじめとしてあらゆる分野に及んでおり、岸田政権の部分的な一時しのぎの対策だけでは、国民生活を守ることはできません。消費税を導入し増税を繰り返して、そのたびに国内消費を冷え込ませてきたことが、30年もの長期にわたる経済停滞の大きな原因です。
私は、最悪の不公平税制である消費税の廃止をめざして奮闘するとともに、緊急に5%への引き下げを求めて、幅広い方たちとの共同を広げて、運動を進めます。
いま多くの免税事業者が、取引先からインボイス登録をするか、消費税相当分の値引きをするかの「悪魔の二者択一」を迫られています。物価高騰のもと、数百万から1千万もの零細事業者やフリーランスで働く人に深刻な負担増をもたらし、多数の廃業を生み出す血も涙もない政治を許してはなりません。
多くの反対の声にもかかわらず、政府がインボイス導入に固執するのは、消費税大増税へのレールを敷くためです。税率が15%、20%となれば、いくつもの段階で複数税率が必要となり、そのための地ならしとしてインボイスを導入しようとしているのです。
インボイスの導入は、小規模事業者やフリーランスのみなさんの問題にとどまらず、すべての国民にかかわる大問題です。私は、引き続きインボイス中止の声を広げていきます。
(2)最低賃金1500円へ大企業の内部留保に5年間に2%課税し中小企業を支援します
昨年改定された最低賃金は、全国加重平均で時給1004円、年収では184万円にとどまり、地域の格差は220円、年間34万5800円にもなります。
中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強化して、時給1500円に引き上げます。
私は、アベノミクスで増えた10年間に大企業が増やした内部留保額に対して、毎年2%、5年間の時限的課税で10兆円の財源をつくり、中小企業の賃上げを支援します。
(3)年金削減ストップ。介護保険料を引き下げ国民健康保険料の均等割りを廃止します
年金・医療・介護・福祉などの社会保障は、憲法25条に保障された国民の大切な権利です。同時に、社会保障は経済の重要な部分を占めています。社会保障が削減されれば、家計の負担が増え、所得は減ります。さらに、生活不安・将来不安も増大し、消費と経済への大きなマイナスとなります。
ところが、この30~40年来、日本の政治はそれを繰り返してきました。自民党政治は“社会保障は企業の税・保険料の負担を増やし、経済の邪魔になる”という財界の言い分に従って、国の社会保障予算を削り込んできました。その結果、たいへんな負担増が国民に押しつけられました。そのことが経済全体に大きな打撃となったことは明らかです。
私は、税と財政の改革を通じて公費1兆円を投入し、人頭税のようにかかる均等割・平等割を廃止して、高すぎる国民健康保険料(税)を抜本的に引き下げます。
物価高騰のもとで年金の実質目減りが深刻です。物価上昇に応じて「増える年金」にします。マクロ経済スライドなどの年金削減システムをやめます。高額所得者の保険料優遇を見直して新たに1兆円の財源を確保し、200兆円を超える年金積立金を計画的に活用して物価上昇に応じた年金額にします。現役世代の賃上げと正社員化をすすめることにより、持続可能な年金財政を確立します。
公的年金制度のなかに「あらゆる人に最低限の年金額を保障し、無年金・低年金者をつくらない」という最低保障の仕組みがないのは、先進国では日本だけで、国連からも「最低年金を公的年金制度に導入する」ことが「勧告」されています。
私は、低年金の底上げ、最低保障年金の導入など「頼れる年金」にするための改革をすすめます。
75歳以上の医療費窓口負担の2割への引き上げを中止し、高すぎる窓口負担の軽減をすすめます。
病床削減と病院統廃合の押しつけをやめ、医師・看護師を増員して、地域医療の体制を拡充します。
軽度者・要支援者からの介護サービスの取り上げを中止し、介護保険の給付の充実を図ります。保険料・利用料の減免、介護・福祉職員の処遇改善、ワンオペ夜勤解消など労働条件の改善、特養ホームなど施設の抜本的増設で、すべての世代が安心できる介護制度にします。
障害者・児の福祉・医療の「応益負担」を撤廃し、無料にします。教育・就労・年金など障害者・児のあらゆる権利を保障します。
自公政権が行った生活保護費削減を緊急に復元し、物価高騰に見合った支給水準に引き上げます。保護申請の門前払い、扶養照会、自動車の保有やわずかな預貯金を理由に保護利用を拒む運用などを改めます。名称を「生活保障制度」に変え、権利性を明確にし、必要なすべての人が利用できる制度に改革します。
「住まいは人権」の立場で、若い世代、高齢者、低所得者に向けた家賃補助や公的住宅の整備を行うなど、住居へのセーフティーネットをつくります。
(4)大学の学費半額、入学金をなくす。学校給食費や教材などの義務教育の費用を無料にします
岸田政権は「異次元の少子化対策」などと言いましたが、「児童手当の所得制限の撤廃と高校生までの支給延長」程度の「低次元」な子育て支援策しか提示できず、その財源も恒常的なものが示せません。
子どもの生まれる数が減り、人口減少社会になったのは、労働法制の規制緩和による人間らしい雇用の破壊、教育費をはじめ子育てへの重い経済的負担、ジェンダー平等の遅れなど、暮らしと権利を破壊する政治が、日本を子どもを産み、育てることを困難な社会にしてしまったからです。
子どもを産む、産まない、いつ何人産むかを自分で決めることは、とりわけ女性にとって大切な基本的人権です。リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)こそ大切にしなければなりません。
「少子化対策」と称して、個人の尊厳と権利を軽視し、若い世代、女性に社会的にプレッシャーをかけるようなことがあってはなりません。多様な家族のあり方やシングルなど、どんな生き方を選択しても個人の尊厳と権利が尊重される社会にする必要があります。
同時に、政治のあり方が大きな要因となって、子どもの数が減り続けることは克服しなければならない日本社会の重要な課題です。「対策」をすべきは、子どもを産み育てることへの困難を大きくした政治を変えることです。
私は、高等教育の無償化に向け、大学・短大・専門学校の授業料を国の責任でただちに半額にし、無償化を計画的にすすめます。他の先進国にはない入学金制度をなくします。奨学金は、給付制中心に改めるとともに、貸与奨学金の返済を半額に減らします。
学校給食費を無償化します。憲法26条は義務教育を無償としており、国の責任で無償化すべきです。
高校卒業までの子ども医療費無料化を国の制度として実施します。
子育てにかかわる「人」を抜本的に増やします。教員定数の抜本増をすすめ、長時間過密労働を解消し、残業代不支給制度を廃止します。教員の働き方を変えて教員不足を解決します。保育士配置など、保育の最低基準を改善します。
一人一人にゆきとどいた教育のため、少人数学級を抜本的に前進させます。
子どもの権利条約にそくして、子どもの権利を尊重します。行き過ぎた競争教育を是正します。
子育てしにくい社会を変えるためには、賃上げと長時間労働の解消など「人間を大切にする働き方改革」が必要です。それとともに、育児休業をはじめとした子育て中の労働者とその家族の生活を支え、権利を守る仕組みを整備する必要があります。
育児休業中の生活を保障する休業補償を拡充します。
女性の育休取得率は9割をこえていますが、男性はわずか14%であり、その5割超が育休取得期間は2週間未満です。収入減少への不安が取得できない理由の一つになっています。育休中の休業補償は、1年間は休業前の手取りの所得を補償する水準に引き上げます。
子育て中の労働者への残業や転勤の制限など配慮・規制を行います。
子育て中の労働者の残業は本人同意を原則とします。単身赴任や長時間通勤を伴う転勤は本人が希望する場合以外は原則禁止します。短時間勤務制度は、小学校入学前まで延長し、所得補償の制度をつくります。深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。
(5)マイナンバーカードへの強行を中止し健康保険証を存続させます
マイナ保険証への「一本化」を中止します。健康保険証存続を求めます。政府による昨年末の総点検後も「トラブルは続いています。システム自体が不完全だと指摘されています。保団連のアンケート(2023年11月~24年1月、全国の会員医療機関を対象に実施)。
23年10月以降、マイナ保険証やオンライン資格確認システムでトラブルがあったかどうかを調査しました。8672医療機関が回答。そのうちの約6割にあたる5188医療機関でトラブルがありました。
私は、健康保険証の廃止について、「保険証は残すべき」ですくなくとも12月2日の廃止は「延期すべき」です。
(6)原発汚染水(ARLPS処理水)の海洋放出は中止。原発即時ゼロ。石炭からの撤退、純国産の再エネを大規模に普及します
漁業者は海洋放出に引き続き反対し、多くの福島県民や国民も心配や懸念の声をあげています。海洋放出は被災地の復興の努力を台無しにするもので、許されません。「汚染水の浄化装置の洗浄中に、高濃度の汚染水漏えい事故がまたも起こりました。国や東電のいう海洋放出の前提は崩れています。直ちに中止すべきです。
気候危機打開への省エネルギーと再生可能エネルギーの取り組みは大切な課題です。 「地球沸騰化」と言われるまで気候危機は進行しています。世界のCO2排出量の81%は、経済規模の大きい20の国・地域(G20)が出し、日本は世界第5位のCO2排出大国です。「気候正義」の立場からも日本には大きな責任があります。
政府は、福島で大事故を起こした原発を「クリーンエネルギー」と称して再稼働・新設に突き進んでいます。そして、いまだに石炭火力に固執し、大型石炭火力の建設を続け、先進国で唯一、石炭火力からの撤退期限を明示しない国になっています。
国連の「気候野心サミット」で岸田首相の演説が拒否されましたが、日本の脱炭素の取り組みは遅れ、責任を果たしていないという国際的な評価が下されているのです。省エネ・再エネによる気候危機打開の取り組みはどんどん遅れてしまいます。
私は、異質の危険、最悪の高コスト、「核のゴミ」に加え、再生可能エネルギー普及を妨害する原発頼みをやめさせ、省エネ・再エネに転換させるために、脱炭素・原発ゼロへの運動を強めます。
(7)ジェンダー平等を貫く。男女の賃金格差をなくします
1)ジェンダー平等については、実体と取り組みから学ぶ必要があります。
国連では、格差と貧困、紛争や気候危機の解決のためには、意思決定の場に女性の参加が必要との信念のもとで国連は、上級職をはじめシステム全体で男女比を同率にする実践を積み重ねています。
日本では、ジェンダー平等が世界の中でも大きく立ち遅れています。国会議員に占める女性の比率も、男女賃金格差も、主要7カ国(G7)で最低、最悪です。
今年は女性差別撤廃条約が国連で採択されてから45年です。日本政府は1985年に同条約を批准したにもかかわらず、具体化・実施にまともに取り組みませんでした。そのことが今日の遅れた事態を招いています。
2024年10月には国連で日本の女性差別撤廃の状況が審議され、ジェンダーギャップの改善に向け、秋までに女性差別撤廃条約の選択議定書を批准することや、国連の女性差別撤廃委員会から何度も勧告されている選択的夫婦別姓制度の導入が求められています。
2)いまジェンダー平等と女性の権利を巡り、大激動というべき歴史的変化が国内外で起きています。
日本では、男女賃金格差を企業に公開させる制度が実現し、格差解消への一歩を踏み出しました。性暴力の根絶に向けて刑法が改正され、不同意性交等罪が創設されました。同性婚や性別変更の手術要件を巡って当事者に寄り添う画期的な司法判決が続いています。選択的夫婦別姓を求める運動、LGBTQ+など多様な性を認め合う社会にむけた動きが大きな流れとなっています。
世界の動きはさらに劇的です。「イコール・ペイ」(同等の報酬)を求める声が広がり、一昨年は女子サッカーのアメリカ代表チームが裁判闘争を経て男子代表と同額の報酬支払いを勝ち取り、世界の女性に希望を広げました。「中絶の禁止」を押し付ける右派勢力に対し、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を掲げた反撃が各国で巻き起こっています。
世界経済フォーラムのランキングで「ジェンダー平等世界一」のアイスランドでは昨年10月、首相も参加して、賃金格差解消や性暴力根絶を掲げた女性の大規模なストライキが行われました。
3)法相の諮問機関である法制審議会が選択的夫婦別姓導入を提言した1996年以降、「現在までの約30年、いまだに選択的夫婦別姓の導入にはいたっていない」と指摘されています。
今年の3月8日の国際女性デーは、経済界からも、選択的夫婦別姓を実現しなければならないとの要望が政府に出されました。経済同友会や日本経団連も実現を求めている中で、司法はもちろん、政治がどう受け止めるのかということが問われています。
私は、あらためてこの課題の到達を確認して、賃金格差の解消や性暴力根絶を掲げた取り組みを推進します。選択的夫婦別姓を求める運動などは、国会内外で推進していきます。
軍事費2倍にキッパリ反対!憲法9条を生かし、東アジアに外交による平和を
2024年度予算案の軍事費は7兆9496億円と、10年連続で過去最大を更新し、23年度当初予算と比べて約1・1兆円も増加しました。22年12月に決定された安保3文書に基づくもので、2年間で2・5兆円もの増額となります。暮らしへの予算転換を願う国民を置き去りに、かつてない規模の大軍拡予算を計上しています。
岸田政権は27年度までの5年間で総額約43兆円を投じると宣言。この「異次元の大軍拡」の2年目となる今回の予算案で、安保3文書に明記された敵基地攻撃能力に使用される長射程ミサイルの取得、また国産のための開発に巨費を投じています。
日本共産党は2022年1月、東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を提唱し、その実現のために内外で力をつくしてきました。いま日本政府がやるべきは、破局的な戦争につながる軍事的対応の強化ではなく、ASEAN諸国と手を携え、AOIP(ASEAN インド 太平洋構想)の実現を共通の目標にすえ、すでにつくられている東アジアサミットを活用・発展させて、東アジアを戦争の心配のない地域にしていくための憲法9条を生かした平和外交にこそあります。
日本共産党は2023年3月、対話によって日本と中国の両国関係を前向きに打開する「提言」を発表し、日中両国政府に対して働きかけてきましたが、この「提言」のなかで、私たちは、東アジアの平和の枠組みとして、ASEANが提唱しているAOIPを日中両国が共同して推進することを訴えています。
日本共産党の「提言」に対して、日本政府、中国政府の双方から、肯定的な受け止めが返ってきました。
私は、戦争の準備のための大軍拡予算に反対していきます。平和の準備の取り組みとして、東アジアを平和の枠組みとして、ASEANが提唱しているAOIPに日中両国が共同して推進することを訴えていきます。